2001年9月10日友人の愛猫 テオに初めて会った日 の帰り道,ココんちの愛車Honda Civic '87くんの中での会話である。
猫バカ。(以下略してバカ。): 怒らないで聞いてくれる?エクサンプロヴァンスからココんちまで約40kmである。その道の途中,新しくできたTGV(フランスの新幹線)のエクサンプロヴァンス駅があるのだが,そこを通り過ぎたあたりで夫がいつもの道から外れた道にハンドルを切った。埃っぽい道である。先には原野が広がり,高圧電線の鉄塔がいくつもそびえていた。 私達の車が右に折れた。 ← その先に見えたのが「REFUGE S.P.A.」と書かれた大きな看板です。 看板奥の門をくぐって約30mの突き当りにはこんな建物が(↓)。車を降りると遠くから犬のキャインキャインという泣き声が聞こえてきた。ココんちから最も近いSPA (Société Protectrice des animaux,動物愛護協会)の動物保護施設。 ・・・ヤバっっ,グレ子もクロ子もいるっっ!!!!!職員がクビをつまんでまず銀猫を持ち上げた。・・・ロンパリである。 次に黒猫。ものすごいかわいい声で泣いて私を見た。黒猫はひとなつっこいと直感した。 夫がここで「オス♂がいいンですよ」と一言。クロも銀も♂だった。 そして職員がポツリ「黒はどこにでもいますが,銀は滅多にいませんよ」と言った。 私が強気に「あ,考えさせてもらいます。そんぢゃ。」とその場を立ち去り,車の前まで一人逃げるように早足に歩いた。背後から夫の「待って,お願い,お願いだから」という情けない声が聞こえてきた。振り返ると子供のように「100フラン・・・」と手を出している。何でも子猫を引き取るには100フラン(当時2000円弱)を払うそうである。100フランといえばバゲット30本近く買える金額だぞ。しぶしぶ「お財布に入っていたらね」と財布を覗いたらその日に限って100フラン札が入っていた・・・!! ニヤリとほくそえんだ夫がその100フラン札を摘み取って走り去った。 10分くらい経っただろうか。 やがて助手席のバッグミラーで夫がスーパーマーケットのビニール袋を提げて歩いてくるのが見えた。足取りが軽い。満面の笑み。 運転席のドアが開いた。 私に差し出されたビニール袋の中には「ミ,ミ,ミ」と泣くグレーの小動物とRoyal Caninの子猫用カリカリ1週間分が入っていた。ついでに夫が私に「これ」と紙切れを数枚押し付けた。一枚は150フランと書かれた領収書,一枚はニューヨークの黒い教会が描かれた絵葉書で裏に私達が住む町の獣医の名前と6か月という文字。「今日から6か月後,150フランと書かれた領収書を持って獣医を訪ねなさい。去勢手術費用から150フランを引いてくれますよ」と説明されたそうだ。 つまり猫を引き取る責任として100フランをSPAに払うが,SPAは猫の幸せを手伝ってくれた礼として引き取った善意者に150フランの手術応援費用を補償します,ということなのだ。いやらしい表現かもしれないが,おそらく世界中のどこでも150-100=50である。私の財布から100フラン飛んだけれど50フランがおまけとなって戻ってきたことになる。流石,心理学に強いフランスである。150フランを換金する手段は去勢手術しか選べない。手術しなければ,100フランいや150フラン失うことになる。 家に戻る前,猫トイレと猫砂とウェルカムディナーとしてパテをひとつ買った。 こうして2001年9月10日夜,銀色の猫はココんちの住人となった。 そしてProsper プロスペエルと名付けられた。 Le 17 mai 2005, Pascal
by macocotte
| 2005-05-17 19:53
| La solidalité 連帯ココんち
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Comments(24)
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smiledsweetly at 2005-05-18 00:29
これは運命だにゃ。
その日、その時、その瞬間、その場所に呼ばれたのね〜。(^_^) 手術応援費用を補償とは、うまいこと考えてますね。 日本ではボランティアさんの負担だったりしますものね; それにしても、ネコを頭にのっけてる写真がやっぱり忘れられません(笑)何度か私もニコラで試してみたけど大きくてダメだったよ。
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macocotte at 2005-05-18 01:16
☆micoさま。
猫初心者の私はこの件で「グレ猫は簡単に手に入る」と勘違いの道を歩むのでした。 後でグレ猫は滅多に出会えないとヒッシヒシヒシとわかりました。 たった一度の,たった一軒のSPAで,しかも♂のグレ猫に会ったのは本当に稀少な偶然でした。 SPAはペットホテルも兼ねていてこれまたいいのです。 それについても今度書きますね。 となると,micoさんの頭に乗ることができる猫を探すとしますか? ひひひ。
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miepon61 at 2005-05-18 01:16
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macocotte at 2005-05-18 01:22
☆mieponさま,夫ですがまさに同じことを。
<猫と暮らしてしまうと、猫のいない暮しが考えられなくなったりするよね。 と私に言いましたよ。 生まれた時から猫と暮らしている歳月がかなり長い彼ですが,決して良いことばかりではありません。納得いかない形で猫を失ったり,高額で購入したチンチラがたった3日で死んでしまったり。今の猫三匹とは良い関係を続けていけるといいですね。
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catseyepower at 2005-05-18 03:37
うちの近所の駅と、沿線の駅に出没していた猫おばさんは、けがをした猫と「治療費を助けてください」のメッセージを書いた紙を持って、座っている。心優しいひとが寄付をする。あとで聞いたら、おばさんは前年も同じことをやっていたそうだ。
わたしも里親さんを捜したことがあるけれど、一時期は子猫に手術費用を現金でつけて、渡していたことがあるそうで、すると、お金欲しさに子猫をもらいに来ることがあるそうだ。で、その子猫を捨てて、また別の子猫をもらいに来るわけね。現金はだめよねえ。
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cawa-miu at 2005-05-18 04:29
人間同士も、もちろんあるけど、めぐり合わせってあるんだなーって思うことが度々あるわよね。
もし、SPAがその日もう閉まっていたら、ぷぅ君には逢えなかったかもしれないんだものね。 確かに、銀猫は普段あまりみかけないわ。 動物を飼うのは責任もあるし、大変なことも沢山あるけど、それ以上に、、、それこそ100フランが100万フラン以上になって還ってくるっていう気がする、もちろんお金で買えるものじゃないけど。
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ma_cocotte at 2005-05-18 05:44
☆catseyepowerさま,どうも日本は現金社会なので変なよどみができやすいように思います。
こちとら主婦なので当時100フランの出費もすぐパンの本数に換算,でも100fr支払ったのに150frという金額に膨らんで,それが手術費用で還元(それ以外では還元しない)と言われれば,「よし,手術」と行く気になるものね。何度考えてもうまく心理作用を利用しているなあ,と。その後ペットショップでイネスを「購入」しても値段は値段のまま,手術補助金なんて出ません。イネスは「商品」でした。 なんかね,これで夫と二人コリゴリしちゃったのだ。 SPAだったら犬猫助けの一旦を担うわけだし,示談金として100frで手術補助金がつく・・・もう納得尽くめなのですよ。 だから種にこだわらないヒトには心からSPAで犬猫を見つけることを勧めたいです。 私の猫知人は競馬で稼いで自分の長男猫名義の通帳にお金を貯め,捨て猫手術や養子縁組費用に充てていますよ。
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ma_cocotte at 2005-05-18 05:49
☆本当にね,Cawa-miuさま。
私は猫に無知音痴なので大家さんちにもいたことだし銀猫は簡単に入ると思い込んでしまったほどです。本物の「ああ,勘違い!」 イネスを見つける時は♂という条件だったのになぜか♀猫ばかり。性別だけでも苦労するのに銀猫をタダで見つけようなんて馬鹿ですよね,私。 月曜日というのもポイントだったと思います。土日なら誰かが置いた直後に引き取られるのが常だそうです。実際,私がイネスを探している時にSPAを訪ねたら,黒猫を抱っこした男性とすれ違い,その猫が「今日の最後」だったこともありました。凄いのですよ,子猫の季節のフランス人の意気込み。 猫も温かくて性格のある生き物なので金額で換算できませんよね。 何せ「第三の財産」ですぞぉ。
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takusukila at 2005-05-18 07:30
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れい
at 2005-05-18 08:19
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旦那様・・・可愛いいじょ~(^。^)優しい方ですね♪実は先月末、実家の猫で19才のチビが天国へと召されていきました(T_T)/~~~若い頃の私と出会い、北海道の自然の中でのびのびすごせるようにと両親のもとに連れ帰った猫ですが、大好きな父の足元で眠るように逝きました・・・帰省するたびに私に甘ったれるチビはもういないけど、出会えてよかった!「長生きしてくれてありがとう、いつかまた逢おうね」そんな気持ちです。私の話しでごめんなさいm(__)mきっとプー様やイネス嬢やレアたんとは出会うべくして出会った神様からの贈り物だと思います(*^_^*)
ぬぬう…やりますな、フランスSPA…
やっぱり国としてもそうだけれど、動物に対しての国民の意識というか、意気込みからしてもう違う! それにしても、その日その瞬間の出逢いってすごく不思議。 プロスペエル氏もモンココさんもまここっつぁんも、その一瞬を共有したからこそ、今家族になってるのですねえ。 しかし100フラン払えば150フランの手術費用換金…すごい心理作戦だわ… だってもう今「すげー!お得ー!!」とか思っちゃってるし。 関係ないけど『損して得とれ』とか『浪花金融道』って言葉が頭の中を駆け抜けていったよ。 どうしてかしら?まここっつぁん。
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くろ
at 2005-05-18 12:58
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なぁるほどぉ。イイ話だねぇ。。。(そか?
銀猫と黒猫、両方もらってくればよかったのにぃ☆
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ma_cocotte at 2005-05-18 15:58
☆雅子さま,私が長年,拒み続けていることを,まあ,ズバリと。
おろおろ・・・。 猫バカ。がこの3年間,「猫が好きになった?」と私に何度尋ね続けていることか。 いえいえ,私は未熟者。猫が喜ぶ猫飼い目指して精進しますよ。
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ma_cocotte at 2005-05-18 16:03
☆れいさま。そういうことがあったのですね。
チビたんはれいさんのご家族と一緒で本当に幸せだったのですよ。 私の知人の猫も,猫がエレベータに乗って彼女の家を訪ねてきたそうです。その後彼女の家に住むようになって,最後は猫から知人の母上の膝の上に乗り,深呼吸して天に昇ったそうです・・・。 猫がひとりぽっちで死に場所を選ぶという話がありますが,決して猫100%ではないように思います。大好きなヒト,感謝したいヒトのそばぢゃないかなあ? うちの三匹もそれぞれの事情があるよう。私達と出会う前の過去は猫自身しか知らないことですもんね。今はこうして共同生活しているのでお互いに心地よく過ごすのが基本かな?というのが私の姿勢です。
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ma_cocotte at 2005-05-18 16:09
☆アザラシーズさまよ,お鋭いわ。
たいてい一軒家には犬猫両方います。特に子供のいる家がそうしています。ここからして日本と違うでしょう? それとフランスは決して所得が高い国ではないので,犬猫に変な贅沢をさせません。ブランド物の首輪なんてまず有り得ません。あ,犬猫に毛皮のコート・・・あれもね。(この日本のペット狂乱はフランスのドキュメンタリーで流れました) そして再び,あーたたち鋭い。 フランス人の会話のやりとりは大阪人にたとえられます。 観光だとタクシー運転手さんとの会話ね。ボケと突っ込みでパリまで連れて行かれます。 手術費用で一部換金というのは本当にありがたかったドすよ。感謝!
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ma_cocotte at 2005-05-18 16:10
☆くろさま,くくくーっっ。
夫は今でも「どうしてあの時4匹引き取らなかったのだろう。本当に君はいじわるだ」と睨みます・・・。 残り三匹どうなったかなあ,と今でも思い出しますよ。 サバ猫もベージュ寅たんもムーチョかわいい猫でした。
プロスピエル君物語、フランスの猫事情もわかって 聞いてよかった。
手術費用は、結構高額だったりするので すごい国だなーって思いました。 うちの周りのフランスのかた、犬猫両方可愛がっているかた 多いですよー。 心の余裕のある飼いかたされてます、みなさん。
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unya_suke at 2005-05-18 20:01
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macocotte at 2005-05-18 20:15
☆でしょう?アラブの猫さま。
フランスの家庭は犬猫バランスよく飼っているおうちが多いのです。 しかも子供がいると情操教育で犬猫と暮らし,散歩することや弱いものをいたわる方法を自然に覚えます。私のように地方暮らしだと犬は泥棒避けに飼っているオタクが多いですよ。猫は室内でも犬は庭に放っていることが普通かも。 猫の避妊費用補助金制度は本当にありがたいですよ。もしもらっていなかったら変なケチ心で手術に行かなくなったりしそう・・・。
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macocotte at 2005-05-18 20:17
☆Unya_sukeさま,偶然だけど不思議な縁を感じられずにはいられません・・・という否定しきれない現実と非現実でしょうかねぇ。
この後,私は銀猫は簡単に手に入ると思い込んでしまいまして・・・はい。勘違いと気付くまで1か月以上かかったかも。かわいそうだけどイネスは妥協からココんちに来る運命になった猫です。これも運命でしょうね。
面白いですねぇ。アダプションって随分違うものですね。サンディエゴだと、
全猫去勢・避妊手術してからでないと渡さないし、値段ももっと高いです。ちゃんと獣医に行けば、50フランのおまけが戻ってくるというのも、にやっとさせられる仕組みだわ。 スーパーのビニール袋に入れられて、っていうのが何だか堅苦しくなくていいですね(笑)。ぷうちゃんとはそういう運命だったのですか。銀猫って確かに聞いたことないです。旦那さま本当に猫好きなんですね。かわゆい人だわ。
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ma_cocotte at 2005-05-20 16:26
☆のわーるさま。
私は最初引き取るのに有料と聞いて嫌な気分になりました。でも何もかも無料にするとその後儲けを考える馬鹿が出てくる。お金を小額なりとも出せば責任が沸くものです。 実は夫は以前飼っていた猫をSPAに出した経験もあります。この場合は「諦め料」としてやはりお金を納めなければなりません。フランスは一度飼った猫を捨てると実刑ですから「本当に」諦めるならお金を払う。うーん,これも心理作戦のように思います。 夫は猫好き。ですが,人生の中では猫絡みで相当つらい思いもしています。 高額で買ったペルシャ子猫が3日で亡くなった苦い経験もろもろ。 彼なりに反省していることも多々あります。 いい意味でも悪い意味でも彼は「猫バカ。」なんだと思います。
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meim_yumezuki at 2005-05-21 14:44
いゃあ~驚いた
macocotteさ~んかなりの面食いですねぇ♪ この猫さんとの出会いのお話を熟読して ドラマダなぁ~と思っているまもなく。 アレッこの俳優は誰だっけ・・・の写真(・・? もしかして、最後のお写真は ご主人ですよねぇ~ おぉぉぉ素っ晴らしい! 「感動したぁ~」←日本のK総理の真似ではありませんが ハンサムなご主人 以前macocotteさんアランドロンの黒いチューリップの 投稿されましたよね? やはりmacocotteさんはかなりの面食いです。(*^_^*) その猫好きだなんて最高じゃないですかぁ~ で、ご主人に独身の兄弟いらっしゃいますか?( ..)φメモメモ(爆) 花婿はフランスで探そうと決意する私でした(完)
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macocotte at 2005-05-21 15:16
☆meimさま,改めましてお誕生日おめでとうございます!
いえ,meimさま,一部で夫はショウゾウ・ハヤシヤに瓜二つ説が飛び交っております。 今は大変ですよ,二重顎でぽっこり妊娠腹です,男性なのに。 夫の従兄が独身ですよ。ヘビーロッカーです。がははは。 花婿をフランスで探せ!・・・いい企画かも?
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