8月2日カナダはトロントのビアソン国際空港で起きたエールフランス機オーバーラン炎上事故の残骸です。乗客297人,乗員12名全員が奇跡的に脱出することができました。 でも機体は写真のように黒炭と化してしまいました。 このパリ・シャルル・ド・ゴール空港からトロントに向けて飛んだエールフランス358便はエアバスA340-300型機で1999年9月から飛んでおり,総飛行時間は28418時間だそうです。 【参考資料 : France 2】 私は現在フランスに住んでいるので連日このニュースについてテレビで見ているわけですが,見れば見るほどどっぼーんと落ち込みんぐ中です。 8月に入ってすぐヴァカンス後半突入したばかりのこのトロント行の機内には観光客と英語研修参加の青年達が多く乗っていました。トロントでオーバーランで飛行機が地面について彼らは脱出しました。そしてなんとか命をとりとめ,入院するほどでない負傷者は現在トロント市内のホテルにいます。ニュースには彼らとの一問一答が繰り返し流れていますが,憔悴しきった彼らが口にすることは命が無事でも動けない,なぜなら荷物もパスポートも燃えてなくなってしまったから・・・もう自由に動けない,と力ない言葉が出てくるのです。そりゃもちろん「こうして生きていることに感謝します」というフランス人特有の〆は忘れていません。 私の目には全てを失って憔悴した人間と上の写真のような燃えかすとなった飛行機の残骸がテレビ画面から何度も飛び込んできます。 「人命優先」で死者がひとりも出なかったこの事故は本当に奇蹟です。が,貨物に猫や犬は乗っていたかどうかは伝わって来ないのです。でも貨物に乗っていた物はご覧のとおり跡形もありません。 つい数日前,私は「モン・ココ猫ヴァカ化学工場」と大喧嘩をして頭の中を「日本へ即刻帰国」という一文が駆け巡りました。インターネットで成田検疫所のHPを見たり航空会社各社のHPを訪ね歩いてみました。そして3+1匹を一度にひとりの私が日本へ持ち運ぶことはもちろん3+1匹を機内に乗せることもフランスからではまず不可能であるという現実を悟ったばかりでした。 これから犬や猫と一緒に飛行機に乗る皆さまへ。 できるだけ彼らと機内に一緒に乗れるよう努力してください。私はそんなにいっぱい飛行機旅行を経験している者ではありません。それでもこれまでに機内食のパンを割ろうとしたらパン粉のように飛び散るほど乾燥して固まったパンを出されたこともありますし,客室乗務員が窓側に座っていた私にサンドイッチを投げつけてきたこともあります。頭の上から琥珀色の油がポトンポトンと垂れてきたので訴えても「我慢しろ」,空調が効き過ぎていたので毛布を求めても「我慢しろ」と言われたこともあります。でももし人間にこんなことをする航空会社でも犬や猫を機内に持ち運んでいいよ,と言ってくれるのなら私はすべて我慢します。そう決意しました。 フランスでは8月に入ってから連日,日本の原爆についての番組が流れています。あの6年に及ぶ悲惨な戦争と原爆投下の事実,戦後60年経った今も原爆の後遺症を抱える第一世代,第二世代,第三世代がいらっしゃることを思えば,半日や一日の飛行時間での私が受ける不快は何てことありません。 ですからどうかみなさま。 こうして今,みなさまと喜怒哀楽を分かち合うパートナーである犬や猫と一緒に機内に乗れるよう努力してください。ま・ここっつぁんの願いです。 Le 5 août 2005, Abel
by macocotte
| 2005-08-05 21:31
| Buvons un coup?ちょと一杯
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Comments(13)
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harubooo at 2005-08-05 22:50
本当に、 もし私とみかんが飛行機に乗っていて
私だけ助かったらと思うと。。。耐えられませんね。 先日北海道に帰省したとき、 飛行機に乗せていたわんこを迎えにきた飼い主さんを見て そのわんこが大喜びで小さな尻尾をぶんぶん振り、 飼い主さんのお顔をべろべろ舐めていたのを見ました。 きっと とってもとっても怖かったんだろうな~。 「荷物」として乗せるのでなく、 隣に座って一緒にいたいですよね。
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茶目子
at 2005-08-06 00:15
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本当に 食べなきゃ命がなくなるんですよね。猫も人間も。
ここにおじゃますると いつも(勝手に読み逃げしてますごめんなさい)思うんですよね、人間の居心地のために他の命を犠牲にするってどうなのかなって。 だって、誰の土地とか どこの国とかって人間が勝手に決めてるだけで他の動物には関係ないことだし、不快だから生存すら認めないっておかしいですよね。 好き嫌いは別としてやっぱり命は大切にしなきゃって思いました。というか解らせていただいちゃいました。 そんな大切なことを考えられる自分でいられてよかった。考える機会を与えてくれたma_cocotteさんと猫様ズに感謝しております。あっもちろんモン・ココさんにも。
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ma_cocotte at 2005-08-06 00:24
■haruboooさま,現実では航空会社が提示する動物への条件は非常に厳しいのです。厳しすぎるのです。
こういう心配をよそに現在もデカくなり続けるぷろすぺえる熊蔵くんです。
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ma_cocotte at 2005-08-06 00:30
■茶目子さま。
エゴの見せ所ってものがあるようにも思います。 暴動の映像や戦争やテロの映像を見てしまうと救うことに限界があるということ・・・これは数分前に見終わった原爆についてのドキュメンタリーであらためて感じました。 でもそこまでの極限に至らない日常ならエゴの見せ所を変えて,妥協できることはして・・・そうすれば守れるものは守れるのではないかなあ,と。
私もニュースを見た瞬間に「貨物室に犬や猫はいなかったのだろうか?」
と心配になりました。こういう事故があると、あらためて犬猫も客室に!と 思いますね。ナオミを日本に連れてくるときも、何よりもまず一緒に客室に 乗せられることを優先しました。 (↓)昨日の記事、複雑な思いで読ませていただきました。「犬猫天国」の フランスであっても、日本であっても、エステルのママンのような人は必ず いるのですよね。ときどき思うのだけれど、どこのどの国に行っても、 いい人:心無い人の比率って、あんがい変わらないのかもしれませんね。 そして、心無い人の仕業を、いい人がフォローしている。あるいは、弱い者が 犠牲になる。後者は、あってはいけない憎むべきことだと思います。 だからこそ、オリヴェールが善き人のもとで幸せでいてくれることを祈らず にはいられません。彼には他の猫同様に幸せになる権利があるのですから。
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ma_cocotte at 2005-08-06 03:36
■もにかさま。
本当に気になるところは貨物室にあった「物」なのです。 預けたら生ある物も単なる「物」なんだ,とあらためて気付かされた次第です。 欧州便ではルフトハンザのみが希望の星です。 アメリカはリルーさんのブログを拝見して知ったNWですね。 雨が降るとSQのマークが出てくるとしてもNWは素晴らしいどす(涙)。 やっぱりね,もにかさま。 この世は天国じゃないってことなのよ。 でも善き人々が天国に近い理想都市を作ることは可能なんだろうけれど・・・ うーん,うーんです。
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cawa-miu at 2005-08-06 20:22
私もこのニュースを見たときに、皆さんと同じ事を思ったのですが、かりに機内に持ち込んでいても、おそらく連れてはいけなかったのではないかという現実も頭をよぎります。
先日ある避難訓練のビデオをみていたら、ポケットの中の物まで(たとえばペンとか)全部出さなければいけないとなっていて(もちろんその人の安全を守るためなのですが)、きっとペットを抱えてシューティングするのは無理なのだろうなと、考えるだけで悲しくなりました。 モンココさんとは仲直りしたのかしら? 何があってもきっと道は開けるから、元気だしてね。 フィンエアという手もあるわ。
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ma_cocotte at 2005-08-06 21:02
■ユンコさま,そうでしょう?
私もテレビでのインタビューを見てパスポートも持って来れなかった,という話で目が覚めました。シューティングすると爪を出しちゃうからダメなのかなあ? はー・・・ そう,フィンエアも動物に優しい会社です。ありがたや。 ココんちでは世界陸上,楽しんでおりますよー。
うちのコは、元々迷い猫としてやってきました。
ペット禁止のマンションだったので最初は困ったのですが、真冬の寒空に放り出すことはできず、どー見ても飼い猫と思われるヒマラヤンだったので、飼い主が現れるまでと思って預かったのがきっかけです。警察・保健所から動物病院まで、思いつくあらゆるところに連絡して飼い主の電話を待ちましたが、数週間経っても飼い主は現れず、母と私は「一生懸命探さない飼い主にはこの子を返せない」という結論に達しました。 その時、万一、元の飼い主が現れた時、どうしたらこの子を手放さずにいられるかを調べたら、迷い犬・猫等の動物を拾った場合、半年を経過すれば拾い主がその所有権を持つことができるとわかりました。
これは、動物でも「拾得物」として扱われるからです。
「拾得物」ですよ、「拾得物」! 命ある動物が、財布や定期や傘と同じ「取得物」。 まぁ、その法律のお陰で今では堂々と「うちのコ」と言うことができるのですが(半年間は飼い主が現れやしないかと冷や冷や)、所詮この国の法律はこんな感覚で作られているのかと嘆かわしくなりました。 人の命は勿論大切ですが、動物の命だってそれとどう甲乙つけることができるでしょう。少なくともモノなんかじゃない。 Oliverくんの話も今回の事故もとても切ない話ですが、Oliverくんはモンココさんに輪をかけたくらいの猫ヴァカさんに貰われたと思うし、貨物室に動物はいなかったと思います。そうですよね。 因みに、フランスの法律では、万一飼い主が名乗り出てきた時ヴィジくんはどうなるのでしょう?(長くてすみません)
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macocotte at 2005-08-07 05:41
■まことっ♪さま。
ヴィジくんは元の飼い主に戻ることになると思います。 私も思い当たる節を廻りましたが,マイクロチップは入っておらず,最後に訪ねた警察で「引き取って大丈夫ですよ」と言われたのでそのままココんちにいる状態です。 すでに宦官手術しているのに外猫になったという状況が今も謎です。 ココんちでくつろいでいる様子を見ると,彼自身が本来いる場所は家の中とわかっているようなのです。玄関を開けても出る素振りも見せません。 レアも一階の玄関にポスターを貼りましたが結局飼い主は現れませんでした。 SPAや警察の話ではわざわざ車で移動して捨てる人が多いそうです。 それにしてもなあ,手術までした猫を捨てるだろうか??? オリヴェールはハンサムな好男子なので今はどこぞで幸せだと思います。
↑の航空会社はエアカナダのことですね。
う…なんとなくごめんなさい。 本当にろくでもない会社なのに今年も北米一に選ばれたりして…。 誰が選んでるんだろ…。 夏の間は一応取り決めで犬猫を貨物に乗せないことになってるらしいです…が。 どこまでそれを信用できるのか。 こちらでは事故当日以来、あまり報道がありません。 事故の原因について2,3こと言うだけです。 インタビューもフランスからトロントに帰ってきた人ばかりなので、あまり皆さん悲壮感は漂ってません。 やはりフランスから訪ねてきた人には、私たちの想像以上に大変なことなんですね。 本当にこれから飛行機を載るものとして考えさせられます。
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ma_cocotte at 2005-08-09 16:03
■アザラシーズさま,いや,エアカナダばかりぢゃないのよ。ローマ教皇御用達のあのアッリタ~リアァとサッベナ(吸収されたと信じていたらまだHPがあるぜ・・・)です。サンドイッチをトルネードで投げたのはサッベナのエアアテンダントです。それがね,「ハムとシャケどちらにしますか?」と言われて「シャケ」と返事したら「シャケはないの」とハムを上から投げてきました。
・・・・ええ,たまにある区別かもしれません(失笑。 やはりALLER(往路)のフランス側はトロントに目的あって行ったので目標を見失ってしまったのでしょうね。荷物もなければパスポートもない・・・。セ・ラ・ヴィとはいえ諦めるまでに時間がかかるのかもしれません。復路だったトロント側の人々は最後のイヴェントになっちゃいましたね。こういう事故でもそれぞれの起承転結の位置が異なると疲労感も違うのでしょう。考えちゃうね。
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